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第7章 權利と力

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この章でアランは、正義と力との関係を考へてゐます。そして、 正義を実現するのは力ではなく、自由な判断だといふ主張を展開 します。反抗する場合でも、権利を裏付けるのは力ではなく、論 証と証拠の力なのだから、真の反抗は

追放されようが投獄され ようが、死を求められようが、自分の意識の命ずる處に從つて語 り或は書く事にある

と言ふのです。

アランのかうした主張は、第一次世界大戦の悲惨な経験と相まつ て、両大戦間の時期におけるフランスの反戦思想に力を与へ、結 果的にはヒットラーへの妥協的な政策につながつたと批判される こともあります。政治の難しさを痛感します。

しかし、最近の進化論の議論でも、人類の発展には信頼といふ要 素が欠かせなかつたとの主張が力を持つて来てゐるやうです。例 へば、エコノミスト誌に掲載された記事は、なかなか興味深いもので、無料 では読めない部分も、機会があれば一読をお勧めします。

小林秀雄がこの文章を訳しながら、何を考へたかは分かりません が、間もなく、小林秀雄自身も、戦争といふものについて考へ、 係はつて行くことになるのです。


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