この章でも、前章に続いて形式論理学についての説明がなされてゐます。かうした問題に関心のない方には、あまり面白くないかも知れません。
外延と内包といふ言葉は、耳慣れないものです。広辞苑によれば、外延は「概念の適用せらるべき事物の範囲。金属という概念の外延は、金・銀・銅・鉄などである類」であり、内包は「概念の適用される範囲(外延)に属する諸事物が共通に有する徴表(性質)の全体」とあります。内包のところには、形式論理学上は、内包と外延とは、反対の方向に増減する云々の追加的説明がついてゐます。
その他は、読めばだいたい分かるので、小林訳で気付いた点をいくつか記すに留めます。ご関心のある方は、ご自分で原文と照し合はせて見てください。私の勘違いである場合も多いと思はれますので、誤りを指摘していただくと幸ひです。
第一段落2行目に「植物と呼んでいゝ存在のある數を表す」とありますが、<植物と呼んでいゝ多くの存在を表す>と訳す方が良いでせう。
第二段落の半ばにある、
問題は限界にある、言換へれば拂はれる警戒にあるので、限界が二等邊三角形である以上、それは相等しい二つの角を持つわけで、誤りもそこだけに關係してゐる。
といふ部分は、多分、次のやうな意味だと思ひます。
それが畑の場合であつても、用心した上で、かう言へる。この畑が二等辺三角形である程度に応じて、二つの角は等しい、そして誤差はそこに関係してゐる、と。
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